studio skyrocket by tange

先日行ってきた東京ビックサイトで行われた“国際メガネ展 IOFT 2019”にて仕入れてきた『studio skyrocket by tange』について紹介させてもらいます。
ボクがこの studio skyrocket と出会ったのは前職でメガネフレームの営業をやっていた時に担当のあるメガネ屋さんにて「こんなフレームがあるんだよ」と紹介を受けました。
この studio skyrocket は2013年から始まっておりボクが紹介を受けたのもそのファーストモデルの時でした。
この商品のデザイン、品質などこれまでに触れたことのなかったメガネフレームでした。
正直ボクの働いていたメーカーは日本国内では大手と呼ばれるフレームメーカーだったので取引しているメガネ屋さんも皆さんがTVなどのCMでよく見聞きされているメガネ屋さんが取引のメインだったのでコストを落とす事はもちろんのこと手間のかかる商品は作る事は殆どありませんでした。
この studio skyrocket を知る前からメガネのセレクトショップでデザイン的に変わった商品を見ていましたしボク自身もメガネが好きだったのでプライベート用として何本か購入もしていました。だからデザインが斬新だったフレームは何本も見てきていました。でもここまで作りにこだわりを持って、更にデザインまで凝って作っている商品は見た事なかったのです。
この頃から独立してメガネ屋さんを経営するかセレクト系のフレームを持ち歩く営業に転職するか悩んでいたので、独立するならこんなフレームを置きたいなと思いました。
で、今回の経営を継承させてもらうことになって、商品構成を変えるとなった時に頭に浮かんだ商品の1つがこの『studio skyrocket by tange』でした。
やっと今回の展示会で取引を開始することになった studio skyrocket を皆さんにも体感してもらいたいなぁって思っています。

この『studio skyrocket by tange』こだわりをいくつか紹介したいと思います。

まず「デザインコンセプト」としては
「眼鏡」としての制約を守りつつ、「表現」出来る可能性がどれだけあるかを求めて製作されています。
また製作面としては
『studio skyrocket』はメガネの産地である福井県鯖江市で生産されています。

製作者の『丹下貴礼』氏の自宅のガレージを工房に改造して古い機械を使い殆どの工程を作者独りで行い、1つ1つ丁寧に製作されています。
セル生地は日本製のタキロン社の物を主として採用されています。また海外製の物も採用されているようなのですけど、イタリアのマツケリ社、ラエス社の物を採用されています。
また丁番、芯金の金属パーツは鯖江産の物をです。
また、ロー付け、メッキ加工なども全て鯖江で行われています。

「鼻あてについて」
普通のメガネ屋さんで取り扱われているセルフレームの鼻あての部分はパッドを単純に貼り付けているんですけど、この studio skyrocket は「削りだし」という技法で製作されています。フロントリムに大きな生地を貼り付けた後に、フライスやヤスリなどで削り出していき、バフなどの磨きの工程を経て「リム」と「鼻あて」が、一体となり美しい造形となるように製作されています。
フレームの仕上がりの良さを求めて製作されたものです。
手で鼻あての曲面を作り上げているので鼻への感触も優しいと思います。

「芯張り」について
テンプルと合口の接合部を開いてみると
現在、市場に出ている物の殆どが「シューティング」という技法で作られたもので、芯の金属がむき出しの状態です。
studio skyrocket は開いてみるとテンプル芯は出てこないように工夫されています。
「シューティング」とは生地から出来上がったテンプルの中央を穴開けしそこに芯の金属を差し込み中に通します。これだと芯の金属がむき出しになっているので経年劣化による金属の腐食やセル生地の縮みからくるテンプル芯のはみ出しが起きてしまいます。
しかし「芯張り」という技法は、生地を二つに裂いて、その中に芯金を挟み込んで、融着していくという方法です。
これをやることにより芯を包み込む為、経年劣化による金属の腐食も抑える事ができ、また生地の縮みからくるテンプル芯のはみ出しも起きません。
この技術は手間、時間、コストもかかる為、多くのメーカーは採用していませんが、studio skyrocketは仕上がりの良さから採用されています。

「テンプル芯」について
テンプル芯には内側に2段階で「刻み」が入っています。
いま使用されているセルフレームの生地は殆どがアセテート材という生地が使用されているのですが、そのアセテート材というのは年数とともに縮んできてしまいます。それを防止する為に加工されています。
この段差がその効果を果たします。
また、2段階も刻みを入れているテンプル芯は殆ど無いです。
これらは、時間が経過しても美しい状態を維持できる事から採用されています。

このようにこだわりが強すぎて大量に作ることも出来ないので取り扱っているメガネ屋さんも愛知県内でも10店舗もありません。人と違ったメガネやサングラスをお探しの方にオススメです。

このようにこだわりを持ったメガネフレームはなかなか見ることは出来ません。

是非一度手に取って見てもらい、体感する為にご来店ください。